理論その4 交流回路(Alternating Current)

コンセント
  • URLをコピーしました!
このページについて

このページでは、交流回路の公式や重要単語その解説について掲載しています。
また、その公式がどの過去問に使われているかについても記載しています。

交流回路のポイント

交流回路の分野では、リアクタンスを含んだ交流回路の計算や力率の計算問題が中心に出題されます。
ベクトル図や複素数を用いた計算には慣れが必要であるため、繰返し計算問題を解く必要があります。

目次

周期と周波数

周期は、周波数の逆数である。

公式

$$\Large{T = \frac {1}{f}}$$
\(T\):周期[s] \(f\):周波数[Hz]

ポイント
・周期は、コイル1回転にかかる時間を表す。
・周波数は、1秒間のコイルの回転数を表す。

角周波数

角周波数は、周波数に比例する。

公式

$$\Large{ω = 2πf}$$
\(ω\):角周波数[rad/s] \(f\):周波数[Hz]

ポイント
角周波数ωは振動fをsin関数で表現したもの
ポイント
・各周波数は、コイルが1秒間に進む角度を表す。

交流の瞬時値

瞬時値は、それぞれの時刻における値を表す。

電圧

公式

$$\Large{e = \sqrt{2}Esin(ωt+Φ)}$$
\(e\):交流電圧の瞬時値[V] \(E\):交流電圧の実効値[V] \(ω\):各周波数[rad/s] \(t\):時間[s] \(Φ\):初期位相[rad]

電流

公式

$$\Large{i = \sqrt{2}Isin(ωt+Φ)}$$
\(i\):交流電流の瞬時値[A] \(I\):交流電流の実効値[V] \(ω\):各周波数[rad/s] \(t\):時間[s] \(Φ\):初期位相[rad]

ポイント
交流のため、絶えず変化し続ける。ある瞬間の電圧、電流を示す。

交流電圧の平均値

最大値に\(\frac{2}{π}\)を掛けた値が実効値となる。

公式

$$\Large{V_{avg} = \frac {2}{π}E_m}$$
\(V_{avg}\):交流電圧の平均値[V] \(E_m\):交流電圧の最大値[V]

ポイント
1周期で平均化すると0になるため、半周期で平均化し2を掛けることで1周期分にしている。

交流電圧の実効値

最大値を\(\sqrt{2}\)で割った値が実効値となる。

公式

$$\Large{V = \frac {1}{\sqrt{2}}E_m}$$
\(V\):交流電圧の実効値[V] \(E_m\):交流電圧の最大値[V]

ポイント
実効値とは、交流を直流と同じ働きをする値として取り扱うためのもの。

直交座標 ⇒ 極座標

公式

$$\Large{\vec{E} = {(x,y)}}$$
$$\Large{\Downarrow}$$
$$\Large{\vec {E} = \sqrt{x^2+y^2}\angle \tan^{-1} \frac {y}{x}}$$

極座標 ⇒ 直交座標

公式

$$\Large{\vec {E} = E\angleΦ}$$
$$\Large{\Downarrow}$$
$$\Large{\vec {E} = (EcosΦ,EsinΦ)}$$

瞬時値 ⇒ 極座標

公式

$$\Large{e = \sqrt{2}Esin(ωt+Φ)}$$
$$\Large{\Downarrow}$$
$$\Large{\vec {E} =E\angleΦ}$$

誘導性リアクタンス

誘導性リアクタンスは、周波数インダクタンスに比例する。

Lのみの回路では、IはVに対し、\(\boldsymbol{\frac{π}{2}}\)[rad]遅れる

公式

$$\Large{X_L = ωL = 2πfL}$$
\(X_L\):誘導性リアクタンス[Ω] \(ω\):各周波数[rad/s] \(L\):インダクタンス[H] \(f\):周波数[Hz]

イメージ
21.Lのみ回路
ポイント
インダクタンスは交流回路の電流の流れを妨げる働きをする。

容量性リアクタンス

容量性リアクタンスは、周波数静電容量に反比例する。

Cのみの回路では、IはVに対し、\(\boldsymbol{\frac{π}{2}}\)[rad]進む。

公式

$$\Large{X_C = \frac {1}{ωC} = \frac {1}{2πfC}}$$
\(X_C\):容量性リアクタンス[Ω] \(ω\):各周波数[rad/s] \(C\):静電容量[F] \(f\):周波数[Hz]

イメージ
21.Cのみ回路
ポイント
静電容量は交流回路において電流の流れを妨げる働きをする。

インピーダンス(直列回路)

インピーダンスは、抵抗とリアクタンスの合成からなる。
直列回路では電流が等しいため、電流ベクトルを基準にする。

R-L直列回路

公式

$$\Large{Z = \frac {V}{I} = \sqrt{R^2+X^2_L}}$$
\(Z\):インピーダンス[Ω] \(V\):電圧[V] \(I\):電流[A] \(R\):抵抗[Ω] \(X_L\):誘導性リアクタンス[Ω]

R-C直列回路

公式

$$\Large{Z = \frac {V}{I} = \sqrt{R^2+X^2_C}}$$
\(Z\):インピーダンス[Ω] \(V\):電圧[V] \(I\):電流[A] \(R\):抵抗[Ω] \(X_C\):容量性リアクタンス[Ω]

過去問出題
2022下:9

R-L-C直列回路

公式

$$Z = \frac {V}{I} = \sqrt{R^2+{(X_L-X_C)}^2}$$
\(Z\):インピーダンス[Ω] \(V\):電圧[V] \(I\):電流[A] \(R\):抵抗[Ω] \(X_L\):誘導性リアクタンス[Ω] \(X_C\):容量性リアクタンス[Ω]

イメージ
R-L-C直列回路
ポイント
・電流の流れを妨げるもの。直流回路においての抵抗に該当する。
・上図をインピーダンス三角形という。
・(XL-XC)をリアクタンスXという

アドミタンス(並列回路)

アドミタンスは、抵抗とリアクタンスの逆数の合成からなる。
並列回路では電圧が等しいため、電圧ベクトルを基準にする。

並列回路の電流

公式

$$\Large{I = \frac {V}{Z} = VY}$$
\(I\):電流[A] \(Z\):インピーダンス[Ω] \(V\):電圧[V] \(Y\):アドミタンス[S]

R-L並列回路

公式

$$\Large{Y = \sqrt{(\frac{1}{R})^2 + (\frac{1}{X_L})^2}}$$
\(Y\):アドミタンス[S] \(R\):抵抗[Ω] \(X_L\):誘導性リアクタンス[Ω]

R-C並列回路

公式

$$\Large{Y = \sqrt{(\frac{1}{R})^2 + (\frac{1}{X_C})^2}}$$
\(Y\):アドミタンス[S] \(R\):抵抗[Ω] \(X_C\):容量性リアクタンス[Ω]

R-L-C並列回路

公式

$$\Large{Y = \sqrt{(\frac{1}{R})^2 + ({\frac{1}{X_L}-\frac{1}{X_C}})^2}}$$
\(Y\):アドミタンス[S] \(R\):抵抗[Ω] \(X_L\):誘導性リアクタンス[Ω] \(X_C\):容量性リアクタンス[Ω]

ポイント
インピーダンスの逆数。電流の流れやすさを表す。

共振

誘導性リアクタンスXL=容量性リアクタンスXCの時を、共振状態という。

共振周波数

共振状態の時の周波数fを共振周波数f0という。

公式

$$\Large{f_0 = \frac {1}{2π\sqrt{LC}}}$$
\(f_0\):共振周波数[Hz] \(L\):インダクタンス[H] \(C\):静電容量[F]

以下、導出

$$X_L=X_C$$

$$2πf_0L=\frac{1}{2πf_0C}$$

$$f_0=\frac{1}{2π\sqrt{LC}}$$

直列共振回路

インピーダンス最小\((Z=R)\)、電流は最大になる。

並列共振回路

インピーダンス最大\((Z=∞\)、電流はになる。

交流電力

皮相電力

公式

$$\Large{S = VI = ZI^2}$$
\(S\):皮相電力[V・A] \(V\):電圧[V] \(I\):電流[A] \(Z\):インピーダンス[Ω]

ポイント
見かけの電力。有効電力と無効電力の合成により求める。

有効電力

公式

$$\Large{P = ScosΦ = RI^2}$$
\(P\):有効電力[W] \(S\):皮相電力[V・A] \(R\):抵抗[Ω] \(I\):電流[A]

ポイント
負荷が消費する電力。実際に負荷に電圧を掛けたり、熱として放出されて消費する。

無効電力

公式

$$\Large{Q = SsinΦ = XI^2}$$
\(Q\):無効電力[var] \(S\):皮相電力[V・A] \(X\):リアクタンス[Ω] \(I\):電流[A]

ポイント
負荷が消費しない電力。電源と負荷で行ったり来たりを繰り返す。

交流電力の関係

公式

$$\Large{S^2 = P^2 + Q^2}$$
\(S\):皮相電力[V・A] \(P\):有効電力[W] \(Q\):無効電力[var]

イメージ

力率

皮相電力の大きさに対する有効電力の大きさの割合

公式

$$\Large{cosΦ = \frac{P}{S} = \frac{R}{Z}}$$
\(cosΦ\):力率 \(P\):有効電力[W] \(S\):皮相電力[V・A] \(R\):抵抗[Ω] \(Z\):インピーダンス[Ω]

ポイント
供給された電力の内、何%が有効電力として使われたかを表す。

複素数を用いたインピーダンス計算

複素数表記にすると、オームの法則や分圧、分流など直流回路と同じように計算できるようになる。

抵抗と誘導性リアクタンス

公式

$$\Large{Z = R+jX_L}$$
\(Z\):インピーダンス[Ω] \(R\):抵抗[Ω] \(X_L\):誘導性リアクタンス[Ω]

ポイント
+jはπ/2[rad]進んでいることを示す。

抵抗と容量性リアクタンス

公式

$$\Large{Z = R-jX_C}$$
\(Z\):インピーダンス[Ω] \(R\):抵抗[Ω] \(X_C\):容量性リアクタンス[Ω]

ポイント
-jはπ/2[rad]遅れていることを示す。

抵抗と誘導性リアクタンスと容量性リアクタンス

公式

$$\Large{Z = R+j(X_L-X_C)}$$
\(Z\):インピーダンス[Ω] \(R\):抵抗[Ω] \(X_L\):誘導性リアクタンス[Ω] \(X_C\):容量性リアクタンス[Ω]

過去問出題
2022下(機械):15
あわせて読みたい
理論その5 三相交流回路(3phase AC Circuit) このページについて このページでは、三相交流回路の公式や重要単語とその解説について掲載しています。また、その公式がどの過去問に使われているかについても記載して...
コンセント

この記事が気に入ったら
いいねしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次