理論その1 直流回路(Direct Current)

直列回路
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このページでは、直流回路の公式や重要単語その解説について掲載しています。
また、その公式がどの過去問に使われているかについても記載しています。

直流回路のポイント

直流回路は理論に限らず、他科目でも適用される重要な単元です。
例年、2~3問問題として出題されています。
計算に関する公式が多いため、覚えると同時に問題を解いて、応用できるようにしましょう。

目次

電流の基本

電流の大きさは、電荷量に比例し時間に反比例する。

公式

$$\Large{I = \frac {Q}{t}}$$
\(I\)[A]:電流 \(Q\)[C]:電荷 \(t\)[s]:時間

イメージ
ポイント
・電流の大きさは、ある面を単位時間当たりに通過する電気量である。
・電流の向きと電子の移動が反対になるため注意。

オームの法則

電流は、電圧に比例し、抵抗に反比例する。

公式

$$\Large{I = \frac{E}{R}}$$
\(I\)[A]:電流 \(E\)[V]:電位差 \(R\)[Ω]:抵抗

回路図
ポイント
・電流I・電位差E・抵抗Rの関係を表す。
・電磁気や交流回路にも登場する重要な公式。
過去問出題
2022上:問5

直列回路

各抵抗に流れる電流等しいこれを電流の連続性という。

公式

$$\Large{I=I_1 = I_2 = \cdots = I_n}$$

回路図

合成抵抗

直列回路の合成抵抗は、各抵抗の和になる。

公式

$$\Large{Ro=R_1 + R_2 + \cdots + R_n}$$
\(R_o\)[Ω]:合成抵抗

回路図

分圧

直列回路の全電圧は、各抵抗の抵抗値で比例分配される。

公式

$$V_1 = E×\frac {R_1}{R_1+R_2+ \cdots + R_n}$$
\(R_o\)[Ω]:合成抵抗

回路図
過去問出題
2022下:問5

並列回路

各抵抗による電圧降下等しい

公式

$$\Large{V_1=V_2 = \cdots = V_n}$$

回路図

合成抵抗

並列回路の合成抵抗は、各抵抗の逆数の和の逆数になる。

公式

$$\Large{R_o = \frac {1}{\frac {1}{R_1}+\frac {1}{R_2}+\cdots+\frac {1}{R_n}}}$$
\(R_o\)[Ω]:合成抵抗

回路図

抵抗が2つのときは、次の式が使える。

公式

$$\Large{R_o = \frac {R_1R_2}{R_1+R_2}}$$
\(R_o\)[Ω]:合成抵抗

回路図
過去問出題
2022下:問5、2022上:問5

分流

並列回路の全電流は、各抵抗の抵抗値で逆比例分配(\(\frac{1}{R}\))される。

公式

$$I_1 = I_0×\frac {\frac{1}{R_1}}{\frac {1}{R_1}+\frac {1}{R_2}+\cdots+\frac {1}{R_n}}$$

回路図

抵抗が2つのときは、次の式が使える。

公式

$$\Large{I_1 = I_0×\frac {R_2}{R_1+R_2}}$$

回路図
過去問出題
2022上:問5

キルヒホッフの法則

キルヒホッフの第一法則(電流則)

回路網の任意の接続点に流入・流出する電流の総和は 0である。

公式

$$\Large{I_1+I_2 = I_3+I_4}$$

回路図

キルヒホッフの第二法則(電圧則)

回路網中の任意の閉路を一巡するとき、起電力の総和と電圧降下の総和は等しい。

公式

$$\large{E_1+E_2+\cdots+E_n =\\ R_1I+R_2I+\cdots+R_nI}$$

回路図

導体の抵抗

断面積\(Am^2\)、長さl[m]の導体が持つ抵抗値。

公式

$$\Large{R = \frac {l}{σA}}$$
\(σ\)[S/m]:導電率 \(A\)[m2]:断面積 \(l\)[m]:長さ
\(σ=\frac{1}{ρ}\)
\(ρ\)[Ω・m]:抵抗率

イメージ

温度変化による抵抗値

導体の温度が上昇すると、抵抗値は大きくなる。

公式

$$\Large{R_2 =R_1(1+α_1(t_2-t_1))}$$
\(R_1\)[Ω]:温度変化前の抵抗値 \(R_2\)[Ω]:温度変化後の抵抗値
 \(t_1\)[℃]:変化前の温度 \(t_2\)[℃]:変化後の温度 \(α_1\):温度変化前の抵抗温度係数

ポイント
温度が上昇すると、原子の振動が激しくなり、電子の移動を阻害する。
過去問出題
2022下:問7

重ね合わせの理

複数の電源がある回路で、回路の任意の点の電流は、各電源が単独で存在した場合の値の和に等しい

公式

$$\Large{I’=I_1+I_2}$$

回路図
ポイント
取り除く電源が定電圧源の場合は、それを短絡して計算する。
また、取り除く電源が定電流源の場合は、それを開放して計算する。

コンダクタンス

コンダクタンスは、抵抗の逆数つまり電流の流れやすさを表す。

公式

$$\Large{G = \frac {1}{R}}$$
\(G\)[S]:コンダクタンス

テブナンの定理

回路網中にある抵抗に流れる電流を求める時、次の式を使う。

公式

$$\Large{I = \frac {E_o}{R_o+R}}$$

\(E_0\)の求め方を以下に示す。

(例)\(E_1=20[V]、E_2=15[V]、r_1=2[Ω]、r_2=3[Ω]\)の時のa-b間の電位差\(E_0\)を求める。

①図①のように回路を切り離す。
②電流\(I_0\)の向きを図②の向きとする。
 また電流\(I_0\)の値はオームの法則より、
$$I_0=\frac{E_1-E_2}{r_1+r_2}=\frac{20-15}{2+3}=1[A]$$

どちらか一方の電圧を求める。\(E_1、r_1\)側で求めると、電圧Eは、
$$E=E_1-r_1I_0=20-2×1=18[V]$$

よってa-b間の電位差\(E_0\)は、
$$E_0=14-0=18[V]$$

ポイント
回路網中にある複数の抵抗や複数の電源を、一つにまとめて計算する(等価回路を作る)。

ミルマンの定理

電源と抵抗が並列になっている回路の全電圧を求める時、次の式を使う。

公式

$$V_{ab} =\frac{I}{G}=\frac {-\frac{E_1}{R_1}+\frac{E_2}{R_2}+\frac{E_3}{R_3}+\frac{0}{R_4}}{\frac {1}{R_1}+\frac {1}{R_2}+\frac {1}{R_3}+\frac {1}{R_4}}$$

回路図
ポイント
・電源の向きによって、分子の符号が変化するため注意する。

ホイートストンブリッジの平衡条件

\(R_1R_4=R_2R_3\)の時、bc間に電流は流れない

回路図
ポイント
問題文に「bc間の電位差が0」「bc間に電流が流れていない」という文言があれば、平衡条件が成立している。
過去問出題
2022下:問5

Δ-Y変換(とY-Δ変換)

Δ接続とY接続は、相互に等価変換できる。

Δ-Y変換

公式

\(\Large{R_1 = \frac {r_1r_2}{r_1+r_2+r_3}}\)

\(\Large{R_2 = \frac {r_2r_3}{r_1+r_2+r_3}}\)

\(\Large{R_3 = \frac {r_3r_1}{r_1+r_2+r_3}}\)

回路図

Y-Δ変換

公式

\(r_1 = \frac {R_1R_2+R_2R_3+R_3R_1}{R_2}\) \(r_2 = \frac {R_1R_2+R_2R_3+R_3R_1}{R_3}\) \(r_3 = \frac {R_1R_2+R_2R_3+R_3R_1}{R_1}\)

ポイント
複雑な回路を簡単にすることができる。

電力

電力:電気製品を使用するときに1秒あたりに消費される電気エネルギー。

公式

$$\Large{P = VI}$$
\(P\)[W(=J/s)]:電力 \(V\)[V]:電位差

電力量

電力量:電気製品を使用するときに消費される総電気エネルギー

公式

$$\Large{W = Pt}$$
\(W\)[J]:電力量 \(P\)[W]:電力 \(t\)[s]:時間

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