機械その4 同期機(Synchronous Machine)
このページでは、同期機の公式や重要単語とその解説について掲載しています。
また、その公式がどの過去問に使われているかについても記載しています。
同期機の分野では、三相同期発電機の特性、電機子反作用を問う知識問題と、百分率インピーダンスや短絡比、同期発電機の端子電圧を求める計算問題が中心に出題されます。
ベクトル図や複素数を用いた計算で一見難しいように感じますが、慣れると簡単に解くことのできる問題が多いため、過去問を繰返し解いておきましょう。
誘導発電機の構造
固定子
- コイル
- 回転磁界を切る。
回転子
- 電磁石
- 回転磁界を作る。
一相分の誘導起電力
$$\Large{E=4.44fNΦ}$$
\(E\):誘導起電力 \(f\):周波数[Hz]
回転子の種類
突極形
- 水力発電に用いられる(回転速度:小 ⇒ 遠心力:小)
円筒形
- 火力発電や原子力発電に用いられる(回転速度:大 ⇒ 遠心力:大)
電機子巻線の種類
分布巻
- 各相の巻線をいくつかのスロットに分散して巻いたもの。
- 各極各相のスロット数は2以上となる。
- コイルピッチを極ピッチよりも短くした巻線法を短節巻という。この巻線法を採用すると,誘導起電力は低くなるが,コイル端を短くできることや、電圧波形が改善できるなどの利点があるため,一般的によく用いられている。
集中巻
- 各相の巻線を1つのスロットに巻いたもの。
電機子反作用
- 固定子に電流が流れると磁界が発生し、主磁束を乱す。
交さ磁化作用
- 力率1で抵抗のみを接続したときに生じる。
減磁作用
- 遅れ力率0でコイルを接続したときに生じる。
- 主磁束を弱める。
増磁作用
- 進み力率0でコンデンサを接続したときに生じる。
- 主磁束を強める。
三相同期発電機の一相分の等価回路
$$\Large{E=\sqrt{(\frac{V_n}{\sqrt{3}}+r_aI_n)^2+(x_s+I_n)^2}}$$
三相同期発電機のベクトル図
三相同期発電機の等価回路(Y形)
- 固定子に電流が流れると磁界が発生し、主磁束を乱す。
三相同期発電機の特性
無負荷飽和曲線:発電機の端子を無負荷にして、定格回転速度で運転し、界磁電流を大きくしていくとあるところで端子電圧が一定になる。
三相短絡電流:発電機の端子を短絡させて、定格回転速度で運転し、界磁電流を大きくしていくとそれに比例して端子電圧が大きくなる。
同期インピーダンス
同期発電機の内部インピーダンス
$$\Large{Z_S=\frac{E_n}{I_S}=\frac{V_n}{\sqrt{3}I_S}}$$
\(Z_S\):内部インピーダンス[Ω] \(E_n\):定格電圧[V] \(I_S\):短絡電流[A]
百分率インピーダンス
$$\Large{%Z_S=\frac{Z_SI_S}{E_n}×100=\frac{P_nZ_S}{V_n}×100}$$
\(%Z_S\):百分率インピーダンス[%] \(I_S\):短絡電流[A] \(E_n\):定格電圧[V]
短絡比
$$\Large{K_S=\frac{I_{fS}}{I_{fn}}=\frac{I_S}{I_n}=\frac{100}{%Z_S}}$$
\(I_{fn}\):短絡電流=定格電流の時の界磁電流。
\(I_{fS}\):無負荷で定格電圧を発生させる界磁電流。
- 短絡比\(K_S\)を小さくすると、
・\(Z_S\) :大
・電圧変動率 :大
・電機子反作用:大
・重量や外形 :小
・安定度 :小
・銅機械
外部特性曲線
- 界磁電流と負荷力率を一定に保ち、定格速度運転をした状態で負荷電流を変化したときの端子電圧。
- 力率1が最も電圧降下が小さい。
三相分の定格出力
$$\Large{P_n=\sqrt{3}V_nI_n}$$
一相分の消費電力
$$\Large{P_1=VIcosθ≒\frac{VE}{x_S}sinδ}$$
自己励磁現象
残留磁気による進み電流により、増磁作用が起こり、端子電圧が上昇する。
$$\Large{Z_S=\frac{E_n}{I_S}=\frac{V_n}{\sqrt{3}I_S}}$$
三相同期発電機の始動法
自己始動法
- 制動巻線を設けて、かご形回転子導体として始動する。
始動電動機法
- 外部の電動機により、始動トルクを得る。
低周波始動法
同期調相機
- 減磁、増磁作用を利用する。
- 無負荷運転の同期電動機
位相特性曲線(V曲線)
- 力率1で電機子電流が最小。
- 界磁電流を大きくすると、電機子電流を進められる。
- 同期電動機(負荷運転)は,界磁電流を変えると,電機子電流の端子電圧に対する位相が変わり,さらに,電機子電流の大きさも変わる。
- 同期電動機(負荷運転)の出力を上げると、グラフがY軸方向に移動する。