電力その6 送電(Power Electric Transmission)
このページについて
このページでは、送電の公式や重要単語とその解説について掲載しています。
また、その公式がどの過去問に使われているかについても記載しています。
送電のポイント
送電の分野では、送電用設備の特徴や送電線に生じる各障害の特徴について問う知識問題が中心に出題されます。
電力科目の中では出題数が最も多い分野で、覚えていれば解ける問題が多いため、点数を取りやすい分野となっています。
目次
多導体方式
- スペーサを用いて1相に複数の電線を配置する。
- 電線の半径が大きくなる(インダクタンスが減少する)
⇒電線表面の電位の傾きが小さくなる(表皮効果が小さくなる)
⇒コロナ開始電圧が高くなり、コロナ放電が生じにくくなる。
送電用設備の特徴
送電線
- 硬鋼より線
- 鋼心より線:中心に亜鉛メッキ銅、その周囲に硬アルミ線
がいし
- 懸垂がいし:笠状
- 長幹がいし:棒状
接地線
- 架空地線:鉄塔の最上部に張られる接地線
- 埋設地線:逆フラッシオーバの発生を防止できる。
アークホーン
- がいしの両端に設ける電極板。
- フラッシオーバ時にがいしの破損を防止する。
ダンパ
- カルマン渦による上下の振動(微風振動)を抑制する。
アーマロッド
- 振動による断線防止。
- アークスポットによる電線溶断防止。
相間スペーサ
- 強風などによる電線相互の接近および接触を防止する。
障害
微風振動(カルマン渦)
- 電線が軽く、長く、張力が大きいほど発生する。
ギャロッピング
- 氷雪に強風が当たると、複雑な振動が生じる。
フラッシオーバ
- 送電線から鉄塔に放電する。
D/r
- 電線間の距離Dと電線の半径rの比が大きくなると、作用インダクタンスは大きくなり、コロナ起こりやすくなる。また、作用静電容量Cは小さくなる。
コロナ放電
- 電線表面電界がある値を超えると発生する。
- コロナ臨界電圧(30kV/cm):コロナが発生する最小電圧。
⇒気圧と温度が上がると低下する。(夏は発生しやすい) - 腐食をうながす。
- 電力損失が生じる(コロナ損)
フェランチ効果
- 送電端より受電端電圧が大きくなる現象。
- 線路電流が小さいほど起こりやすい。
- 負荷側に地中送配電が接続されていると起こりやすい。
- 線路が長いほど起こりやすい。
- 電流の位相が電圧に対して進んでいるほど起こりやすい。
その他障害
静電誘導障害
- 電線と通信線が接近していると、その間で静電誘導により電圧が生じる。
電磁誘導障害
- 電線と通信線が接近していると、その間で電磁誘導により電圧が生じる。
直流送電
- 導体は2条で良いため建設費が安い。(交流は3条)
- 変圧器で容易に昇降圧できない。
- 充電電流を補償する必要がない。